BtoCのEコマースに関する法規制対応

1 B to CのEコマースを取り巻く状況

 2020年の日本国内のB to Cの電子商取引(Eコマース)の市場規模は、19.3兆円であり、前年比0.43%減でした(※1)。新型コロナウイルス感染症拡大の対策として、外出自粛の呼びかけ及びECの利用が推奨された結果、物販系分野の大幅な市場規模拡大につながった一方で、主として旅行サービスの縮小に伴い、サービス系分野の市場規模が大幅に減少しました。その結果、BtoCのEコマース市場規模全体としては前年比830億円の減少となりましたが、今後ワクチン接種が進むなどすることでサービス系分野が回復する可能性はありますし、物販系は更に拡大する可能性があり、Eコマース市場規模全体としては更に拡大していくものと思われます。

※1 経済産業省「令和2年度 産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)」(2021年7月公表)
  (https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/210730_new_kohyoshiryo.pdf

2 B to CのEコマースを巡る法規制

(1) 複数の法規制
 B to C取引においては、通常、消費者と交渉等を経ずに画一的に取引を行い、契約内容に関して民法の任意規定を補完・修正するため、取引に関する規約が重要です。企業としては私的自治の下で自社に有利な条項を制定したいところですが、それが民法の強行規定や消費者契約をはじめとする法令に抵触しないか、規約の運用、変更等についても問題ないか、検証する必要があります。
 また、Eコマースは非対面取引であり、口頭での説明等は予定されていないため、消費者に対する説明や誘引方法として、Webページなど広告表示も重要です。消費者向け広告表示については種々の規制が存在します。
 例えば、一般消費者向けの表示に関する基本法である景品表示法に基づく不当表示規制や、通信販売広告に関する特定商取引法に基づく表示規制(一定の事項の表示義務及び誇大広告の禁止)を遵守する必要があります。広告表示について、消費者契約法に基づく不当勧誘規制が適用される可能性もあります(最判2017年1月24日民集71巻1号1頁)。さらに、電子メール広告については、特定商取引法及び特定電子メール法による規制が存在します。
 これらに加えて、取り扱う商品・サービスの種類によっては業法を遵守すべき場合もあり、Eコマースでは、通常、消費者(顧客)の個人情報を取得するため、個人情報保護法も遵守する必要があります。
 これらの法規制は、民事ルールと行政ルールが混在しています。いかなる法令が適用され、どのような場合に当該法令に違反するのか、違反した場合の効果やビジネスに及ぶ影響の判断は、必ずしも容易ではありません。

(2) 最近の動向
 昨今では、インターネットを取り巻く技術の進歩や社会情勢の変化に伴い、Eコマースに関する法改正等の動きが活発です。例えば、2021年には次のような動きがありました。
・5月10日:「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」公布
・6月16日:「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律」公布(通信販売における表示に関する内容を含む特定商取引法を改正するもの)

 その他、2019年12月から「消費者契約に関する検討会」(消費者庁)が開催され、消費者契約法改正が議論されています(2021年7月現在も継続して開催されています)。
 また、2020年に成立した個人情報保護法改正法の全面施行が2022年4月に迫る中、自社の個人情報の取扱いやプライバシーポリシーの内容を改正法に沿ったものにする準備が必要です。
 さらに、Eコマースに関連して、日々重要な裁判例や行政処分が出されています(例えば、会員規約における免責条項の差止めを認めた東京高判2020年11月5日〔令和2年(ネ)第1093号、2358号〕や、アフィリエイト広告を対象とする消費者庁の景品表示法に基づく措置命令〔2021年3月3日〕など)。
 このように、Eコマースを行うに当たっては、法改正や裁判例・行政処分等の情報を常にアップデートすることが必要です。

3 当事務所での対応実績

 B to CのEコマースの分野では、種々の法律の横断的な知識が求められ、かつ、個々の商品・サービスの内容に即した実践的なアドバイスが求められます。当事務所では、Eコマースについて豊富な知識と経験を有する弁護士が在籍し、様々な場面についてリーガルアドバイスを提供してきた多数の実績があります。
 当該アドバイスを提供する中で、実務的に有用であり、一般化できると思われる点について、「NBL」(株式会社商事法務)において連載で解説しています。これまで大きく分けて規約編及びサイト表示編が公開されており、2021年秋からは、個人情報保護編が公開される予定です。
 当事務所では個人情報関連のご相談も多くお受けしており、B to CのEコマースに限らず、個人情報の取扱いに関する幅広い案件について、適格なリーガルサービスをご提供することも可能です【取扱分野ページ】。

Eコマース実務対応(第9回)Eコマースに関連する近時の立法動向概観・総括
Eコマース実務対応(第8回)サイト表示に関する留意点(2)
Eコマース実務対応(第7回)サイト表示に関する留意点(1)
Eコマース実務対応(第6回)規約運用・変更上の留意点
Eコマース実務対応(第5回)規約作成上の留意点(5)
Eコマース実務対応(第4回)規約作成上の留意点(4)
Eコマース実務対応(第3回)規約作成上の留意点(3)
Eコマース実務対応(第2回)規約作成上の留意点(2)
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