BtoC-Eコマースに関する法規制対応(特商法改正を含む2022年の動きを追記)
(2022年3月29日更新)
1 BtoC-Eコマースを取り巻く状況
SNS やスマートフォンの普及に伴い、BtoC-Eコマースは急速に発展し、その市場規模も年々大きくなっています。特に、2020年以降は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活様式の変化に伴い、物販・デジタル分野のBtoC-Eコマースの市場規模が大幅に拡大しています。
2020年の日本国内の消費者向け電子商取引(BtoC-Eコマース)の市場規模は、19.3兆円でした(※1)。主として旅行サービスの縮小に伴い、サービス系分野の市場規模が大幅に減少したため全体では若干市場が縮小したものの、物販系分野の大幅な市場規模拡大(前年比約21.7%増)及びデジタル分野の市場規模拡大(前年比約14.9%増)につながりました。メーカーが自社の商材をEコマースサイト上で直接消費者向けに販売するDtoC(「Direct To Consumer」の略)の登場、いわゆるサブスクリプションサービスの定着なども背景に、今後もBtoC-Eコマース全体の市場は拡大していくことと予想されます。
2 BtoC-Eコマースを巡る法規制(「規約」、「表示」、「プライバシーポリシー」関連)
(1) 複数の法規制
BtoC-Eコマースにおいては、通常、消費者と交渉等を経ずに画一的に取引を行い、契約内容に関して民法の任意規定を補完・修正するため、取引に関する規約が重要です。その際、民法の強行規定や消費者契約をはじめとする法令に抵触しないか、規約の運用、変更等についても問題ないか、検証する必要があります。
また、Eコマースは非対面取引であり、口頭での説明等は予定されていないため、消費者に対する説明や誘引方法として、Webページなど広告表示も重要です。消費者向け広告表示については、景品表示法や、通信販売に関する特定商取引法に基づく規制を考慮する必要があります。
これらに加えて、取り扱う商品・サービスの種類によっては業法を遵守すべき場合もあり、Eコマースでは、通常、消費者(顧客)の個人情報を取得するため、個人情報保護法も遵守する必要があります。その際、「プライバシーポリシー」の作成・運用が重要です。
これらの法規制は、民事ルールと行政ルールが混在しています。いかなる法令が適用され、違反しないような対応はどのようなものか、具体的な場面ごとに検討・対応が必要です。
(2) 最近の動向
昨今では、インターネットを取り巻く技術の進歩や社会情勢の変化に伴い、Eコマースに関する法改正等の動きが活発です。例えば、2022年には次のような動きがあります(2022年3月29日時点)。
2022年2月15日 |
|
2022年3月1日 |
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2022年3月16日~ |
「景品表示法検討会」設置(消費者庁) |
2022年4月1日 |
2020年・2021年個人情報保護法改正法の全面施行(個人情報保護委員会) |
2022年5月1日 |
「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」施行 |
2022年6月1日 |
2020年特商法改正法施行 |
3 当事務所での対応実績
BtoC-Eコマースの分野では、種々の法律の横断的な知識が求められ、かつ、個々の商品・サービスの内容に即した実践的なアドバイスが求められます。当事務所では、Eコマースについて豊富な知識と経験を有する弁護士が在籍し、様々な場面についてリーガルアドバイスを提供してきた多数の実績があります。
当該アドバイスを提供する中で、実務的に有用であり、一般化できると思われる点について、「NBL」(株式会社商事法務)において連載で解説してまいりました。
当事務所では個人情報関連のご相談も多くお受けしており、BtoC-Eコマースに限らず、個人情報の取扱いに関する幅広い案件について、的確なリーガルサービスをご提供することも可能です【取扱分野ページ】。
Eコマース実務対応(規約作成上の留意点等)(第12回・完)個人情報保護法に関する留意点(3)
Eコマース実務対応(規約作成上の留意点等)(第11回)個人情報保護法に関する留意点(2)
Eコマース実務対応(規約作成上の留意点等)(第10回)個人情報保護法に関する留意点(1)
Eコマース実務対応(第9回)Eコマースに関連する近時の立法動向概観・総括
Eコマース実務対応(第8回)サイト表示に関する留意点(2)
Eコマース実務対応(第7回)サイト表示に関する留意点(1)
Eコマース実務対応(第6回)規約運用・変更上の留意点
Eコマース実務対応(第5回)規約作成上の留意点(5)
Eコマース実務対応(第4回)規約作成上の留意点(4)
Eコマース実務対応(第3回)規約作成上の留意点(3)
Eコマース実務対応(第2回)規約作成上の留意点(2)
Eコマース実務対応(第1回)規約作成上の留意点(1)
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