【オンラインセミナー】判例解説セミナー シリーズ第29回:訴訟対応の違いによって法的効果が正反対となる 最高裁判例に関するセミナー
2025.06.19
今回の判例解説セミナーは、特定専門分野のテーマに関する最高裁判例ではなく、一般法として機能する「民事実体法」に関する2つの重要な最高裁判例を取り上げます。少し前の最高裁判例ではありますが、実務的な対応の違いによって法的効果が正反対になります。現在においても、実務的に間違えやすい重要な問題点を含んでいます。
〔1〕XがYに対して1000万円の貸金債権と1500万円の売買代金債権を有していました。XはYの資産状況が厳しい状況にあることを考慮して、1000万円の貸金債権の支払を求める訴えを提起しました。そうしたところ、YはXに対して1300万円の売買代金債権を有するとして相殺の抗弁を主張しました。Yに対する債務がないにもかかわらず相殺の抗弁を主張されたことに驚いたXは、Yに対する1500万円の売買代金債権を有するとして、訴訟上の相殺の再抗弁を主張しました。最高裁は、Xによる訴訟上の相殺の再抗弁主張は許されないとしました。しかし、相殺の再抗弁主張については、Xの対応方法如何によっては許容される場合もあります。
〔2〕Xは甲土地を所有し、Yは甲土地上に乙建物を所有していました。Yは乙建物を第三者に譲渡してしまっており、Xは乙建物の現在の所有者を認識していません。Xは甲土地を不法占拠している乙建物の収去・土地明渡しを求めるため、現時点における乙建物の所有権登記の名義人であるYに対して乙建物の収去・土地明渡し訴えを提起しました。Yは、現在、乙建物の所有権を有していないので、乙建物の収去・土地明渡し義務はないと主張しました。最高裁は、Yが乙建物を所有していた時点で、自らの意思で自己所有の登記を経由した以上、Yが土地所有権を喪失したことをXに対して主張できないとして、XのYに対する乙建物の収去・土地明渡しの請求を認容しました。この認容判決には、一定の条件が付されており、Xの請求が認容されるかどうかは条件次第となります。
本セミナーで講師を務めます林圭介弁護士は、大阪高等裁判所の裁判長を経験した後、2016年4月から2023年3月までの7年間、学習院大学法学部で教授を務めました。
上記の判例を授業やゼミで取り上げた際に、学生からは、「訴訟対応の違いによって法的効果が正反対になるのですね」「この判例には、予想以上に深い意味があるのですね」「訴訟対応の重要性を改めて痛感しました」という反応がありました。判決文を一読するだけでは、法的効果の重要な違いについて理解できない問題点を含む興味深い最高裁判例です。
(本セミナーで紹介する主要な判例)
〔1の判例〕最高裁平成10年4月30日判決(民集52巻3号930頁)
〔2の判例〕最高裁平成6年2月8日判決(民集48巻2号373頁)
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分野:一般民事訴訟・相談
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