ESG・サステナビリティとビジネス法務

 

 昨今、ESG(環境・社会・ガバナンス)やサステナビリティに関する国内外のルールやガイドラインが急速に形成され、ESG要素に配慮した投融資も急拡大しています。これに伴い、日本企業においても、ESGに関するリスク管理や収益機会の実現に向けた取組みを進め、これを適切に開示することが、証券市場における評価はもちろん、自社の事業の競争力をも高めることに資すると指摘されています。

 特にビジネス法務の文脈においては、
① まず、自社のコーポレートガバナンスの取組みの中にESG・サステナビリティの要素を組み込むことが求められています。特に近時は、アクティビストを含む株主からESGの推進に向けた対話の申入れがなされることは珍しくなく、中には株主提案に至る事例も見受けられますので、これらに適切に対応するためにも、平時から自社のESG課題に向き合い、適切なガバナンス体制を構築することが重要といえます。
② また、ESG投融資が拡大の一途を辿る状況において、資金提供者から証券市場において正当な評価を受け、有利な資金調達を受けるためには、ESG情報の開示を充実させることが必要であり、特にE(環境)要素の一つである気候変動対応に係る情報開示は喫緊の課題と言えます。
③ さらに、S(社会)要素については、コロナ禍を経て、人権の尊重がより求められるようになっており、自社従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適正な処遇に留まらず、サプライチェーン上の取引先との公正・適正な取引の確保などがクローズアップされています。特に、近年、企業が人権尊重責任を果たす観点から人権デューデリジェンスを実施する例もみられるようになり、「ビジネスと人権」分野において新たなプラクティスが形成されつつあります。

 当事務所では、このほかにも、環境関連の紛争や不祥事対応、サステナブル・ファイナンスへのアドバイスなど、刻一刻と更新されるESGを巡る最新の情報を踏まえながら、企業の直面するESGに関する法務問題について、あらゆる相談業務を取り扱っています。ESGの専門チームが、各専門分野における豊富な知識と経験を有する弁護士と協働することにより、個々の企業の状況に合わせた適切なリーガルアドバイスを提供しています。

 以下では、上記の各テーマについて、主に国内の主要なガイドライン等を提示するとともに、これらの解説として、当事務所の弁護士が執筆した関連記事をご紹介します。

1.ESGを巡る株主対応・コーポレートガバナンス

 ●  東京証券取引所「コーポレートガバナンス・コード(2021年6月版)
 ●  金融庁「投資家と企業の対話ガイドライン(2021年6月版)
 ●  金融庁「スチュワードシップ・コード(2020年3月版)
 ●  日本取引所自主規制法人「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」(2018年3月)

これらについて、詳しくは、次の記事(平井義則「ESGを巡る株主対応・コーポレートガバナンス」(大江橋法律事務所News Letter49号))及び澤井俊之「【2021年改訂】ESGに関するコーポレートガバナンス・コードの原則と実務対応」(BUSINESS LAWYERS Website))をご覧ください。

2.ESG情報の開示対応

[一般]
 ●  JPX ESG Knowledge Hub (Website)
 ●  日本取引所グループ=東京証券取引所「ESG情報開示実践ハンドブック」(2020年3月)
 ●  日本弁護士連合会「ESG(環境・社会・ガバナンス)関連リスク対応におけるガイダンス(手引)~企業・投資家・金融機関の協働・対話に向けて~」(2018年8月)
 ●  ニッセイアセットマネジメント株式会社(GPIF委託調査研究)「ESGに関する情報開示についての調査研究」(2019年3月)

[国際的開示フレームワーク]
 ●  SASBスタンダード(2018年)
 ●  GRIスタンダード(2000年)
 ●  国際統合報告(IIRC)フレームワーク(2013年)
 ●  WEF=IBCステークホルダー資本主義指標(2020年)

[国内ガイドライン等]
 ●  経済産業省「価値協創のための統合的開示・対話ガイダンス─ESG・非財務情報と無形資産投資」(2017年5月)[1]
 ●  金融庁「記述情報の開示に関する原則」(2019年3月)
 ●  金融庁「記述情報の開示の好事例集」(2021年3月版)
 ●  環境省=経済産業省「サーキュラー・エコノミーに係るサステナブル・ファイナンス促進のための開示・対話ガイダンス」(2021年1月)
 ●  金融庁=経済産業省=環境省「クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針」(2021年5月)
 ●  金融庁「サステナブルファイナンス有識者会議報告書」(2021年6月)

[TCFD関連]
 ●  TCFDコンソーシアム(Website)
 ●  TCFD提言最終報告書(日本語)(2017年6月)
 ●  TCFD Publications
 ●  TCFDコンソーシアム「気候関連財務情報開示に関するガイダンス2.0(TCFDガイダンス2.0)」(2020年7月)
 ●  環境省「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイドVer3.0(シナリオ分析実践ガイド3.0)」(2021年3月)
 ●  国土交通省「不動産分野における 『気候関連財務情報開示タスクフォースの提言』対応のためのガイダンス (不動産分野 TCFD 対応ガイダンス)」(2021年3月)

これらについて、詳しくは、次の記事(澤井俊之「【2021年改訂】コーポレートガバナンス・コード改定案を踏まえたESG開示の実務」(BUSINESS LAWYERS Website))をご覧ください。



[1] 同ガイダンスについては、経済産業省「サステナブルな企業価値創造のための長期経営・長期投資に資する対話研究会(SX研究会)」において、2021年9月下旬を目途に改訂案が出されることが予定されています。

3.ビジネスと人権

[一般]
 ●  国際連合「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年3月・日本語訳版)
 ●  ビジネスと人権に関する行動計画に係る関係府省庁連絡会議「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」(2020年10月)
 ●  法務省人権擁護局=公益財団法人人権教育啓発推進センター「今企業に求められる『ビジネスと人権』への対応 『ビジネスと人権に関する調査研究』報告書(詳細版)」(2021年3月)

[人権デューデリジェンス一般]
 ●  OECD:「責任ある企業行動のためのOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス」(2018年)
 ●  日本弁護士連合会「人権デュー・デリジェンスのためのガイダンス(手引)」(2015年1月)
 ●  国連開発計画「人権デュー・デリジェンスと新型コロナウイルス:企業向け 自社評価簡易チェックリスト」(2020年5月18日)

[人権デューデリジェンス分野別]
 ●  ビジネスと人権ロイヤーズネットワーク及び外国人労働者弁護団 外国人技能実習生問題弁護士連絡会「サプライチェーンにおける外国人労働者の労働環境改善に関するガイドライン(第1版)」(2020年8月)

[人権デューデリジェンス事例集]
 ●  日本経済団体連合会「第2回企業行動憲章に関するアンケート調査結果―ウィズ・コロナにおける企業行動憲章の実践状況―」(2020年10月13日)のうち、特に「(別冊3)「ビジネスと人権」に関する取り組み 事例集」

[救済メカニズム]
 ●  責任ある企業行動及びサプライ・チェーン研究会「責任ある企業行動及びサプライ・チェーン推進のための対話救済ガイドライン(第1版)-企業と社会の建設的な対話、苦情処理・問題解決制度の強化及び救済アクセスの確保に向けて」(2019年12月)

 これらについて、詳しくは、次の記事(石田明子「「ビジネスと人権」~人権尊重に向けて企業が取り組むべき実務対応」(大江橋法律事務所News Letter49号))をご覧ください。

以上

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